こころの病って何だろう?

近年、精神疾患で医療機関にかかっている患者数は、320万人を超えており、日本人のおよそ40人に1人の割合にのぼります。生涯を通じて5人に1人がこころの病にかかるともいわれており、誰もがかかる可能性のある病気なのです。
こころの病になった場合は、体の病と同じように治療を受けることが何よりも大切です。適切な治療を受けることで回復しますので、そのためには心の病を知り、いち早く症状に気付き、そして専門機関で治療を受けることが大事です。現在では、効果が高く副作用の少ない治療薬も開発されていますので、以前に比べて回復も早くなってきています。
体の病と違い、心の病の中には、自分が病気であるという自覚がないものもあります。また、本人が苦しんでいても、周囲からはわかりにくいという特徴があるのも事実です。気づかないうちに無理をさせたり、傷つけたり、病状を悪化させているかもしれません。まずは、皆さんが「こころの病」を正しく理解することがとても大切です。
うつ病
思考力や意欲が低下したり、気分が落ち込み無気力になったりする状態が長く続くなど、精神的な不調が現れたり、睡眠障害や食欲不振、倦怠感など身体的な不調が長く続くようであればうつ病の疑いがあります。
悲しいことやストレスが重なると誰でも憂うつになったり気分が沈んだりしますが、時間が経っても自然に回復せず、「強く憂うつな気分」や「気持ちが落ち込む」といった抑うつ状態がほぼ一日中、それが長い期間続くというのはうつ病の代表的な症状です。
うつ病にかかる原因ははっきりと解明されていませんが、生活環境や職場環境などによるストレスが引き金になりやすい傾向があります。また、うつ病は、気の持ちようやこころの弱さから起こるものではありません。脳内の神経伝達物質の減少によって引き起こされると言われています。
うつ病にかかったときに大事なことは、専門機関での継続的な治療と、充分な休養をとることです。ただし、うつ病には種類があり、いわゆる“うつ状態”のみが現れる『単極性うつ病』だけではなく、気分が高揚して元気な状態が続く“躁状態”が現れる『双極性障害』と呼ばれるタイプもあります。この『双極性障害』は治療方法が異なりますので、必ず医師に相談し、適切な治療方法を見つける必要があります。
双極性障害(躁うつ病)
喜怒哀楽といった感情は誰もが持ち合わせていますが、それが正常の範囲を超えて気分が高揚しすぎたり、逆に落ち込みすぎたりすることが一定の期間継続するようであれば「双極性障害」の疑いがあります。
遺伝病ではありませんが、遺伝負因のある人が、ストレスなどの外的要因にさらされた際に発症すると考えられています。
双極性障害はいったん治っても、放っておくと数年以内に再発することがあり、多くの場合、生涯にわたる予防治療が必要になります。
HOME >こころの病って何だろう?